サマーウォーズ – まだ負けてない

サマーウォーズの話のありかたは、終盤の一瞬に向けてすべてを凝縮していく、というよりは同じメッセージを何度も繰り返して伝えてきているようです。

プレッシャーを受けて慌てふためく人に向かって、別の誰かが落ち着いた声で「まだ負けてない」と言い、そして一致団結して敵に立ち向かう。それぞれの人物が役割を変えながらこれを何度も繰り返す。繰り返していく中で、「まだ負けてない」は心の中に染みこんでいく。

そこでは、音楽のチカラで無理矢理盛り上げるようなことはしない。「時をかける少女」で『変わらないもの』が流れる瞬間、あるいは「ウォーゲーム」でデジモンたちが究極体に進化するところなど、ずるいぐらいに音楽のチカラで盛り上がってしまうんだけど、「サマーウォーズ」ではそれをしていない。山下達郎というビッグネームの歌は、映画の最後に、物語をゆっくりと振り返りながら余韻を楽しむために存在している。
それぞれのシーンを頭に思い描き、そこに歌詞が重なって味わい深いエンディング。

…という余裕を持って主題歌を聴くことができたのは、3回目になってからでした。感想書かなきゃ、という義務感もあってエンディングの間はあんまり余裕がなかったのです。

歌のことはさておき、登場人物がプレッシャーを受けて感情的になればなるほど、そこに現れる行動はろくでもないもので。「まずは落ち着きなさい」そして「ごはんを食べましょ」

感情を煽るような音楽は押しつけない。でもその代わり画面中にある情報量は圧倒的で、細部にわたっていろんな仕掛けが詰まっている。見るたびに発見があるもの。この作品はとにかくシナリオと絵のチカラで勝負しているんだなーとそんなことを感じました。

改めて新しいチラシ (背景をを除いて今日現在の http://s-wars.jp/ トップ絵と同じ)を見てみたら、足下にあるのは液晶モニターとブラウン管がそれぞれ描かれていて、液晶モニター内は仮ケンジ、ブラウン管にはキングカズマ。映画を見た後にチラシ見ると、これだけでご飯三杯いけます。

背後にどっしりとある船は、物語中で最初は波しぶきを造り出すモノだったのに、最後には逆に防波堤として機能するみたいなとこも面白い。

多分次回は公開初日 8月1日に見ると思います。「まだまだ負けてないよ!」

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